平城京遷都1300年を来年に控えて 奈良の街は工事ラッシュでした。
3条通りは拡幅工事で掘り返していますし JR奈良駅は駅舎の拡張建替え中でした。
11月中旬にしては温かい日に恵まれ コートをホテルに置いて散策しました。
初日は あまり観光客が立ち寄らない「奈良町」界隈を歩きました。
この辺りは 狭い道を挟んで 格子窓の古い家屋が連なっている区域です。
奈良町資料館や庚申堂や小さなお寺などが あちこちに散在しています。 ウイークデーでもあり 観光客はほとんど出会わず 道に迷うと地元の方を見つけては道を尋ねながら歩きました
この奈良町の中心が 写真の元興寺(ガンゴウジと発音)です。
元興寺は 仏教伝来後 始めて 正式の仏寺建築として 飛鳥の地に建てられた法興寺(飛鳥寺とも言う)が 奈良遷都によってこの地に移され 寺名も元興寺に改められた由緒在る寺だそうです。
この建物 極楽堂は焼失後 鎌倉時代に建て直されましたが その後の荒廃が激しく 戦後 の大修理で創建当時に近い状態に復元されました。 後ろに建っている 禅堂と共に 国宝に指定され 更に '98年にはユネスコの世界文化遺産「古都奈良の文化財」の一つに登録されています。
その日の午後は 興福寺の仮金堂で開催中の「興福寺国宝公開2009」へ 2時間行列のすえ入場し 阿修羅像をはじめ 現存の八部衆・十大弟子像 計14体を一堂で拝観しました。
尚 お堂内の仏像は 全て写真撮影が禁止になっていますので 残念ながら仏像等の写真を掲載することが出来ません、ご了承願います。
次の日は旧友と 近鉄西ノ京で落ち合って 北門から薬師寺に入りました。
薬師寺と言えば 松の間から望む東塔の姿が 記憶に残っていましたが その東塔はご覧の通り工事用足場で覆われていました。 一方 建物として あまり記憶に残っていない 金堂・講堂などは 昭和50年以降の大改装により 白壁に朱色の柱 緑色の格子 黄色の垂木小口 が映える 白鳳伽藍として見事に甦っているのに驚きました。
金堂内の薬師三尊像や 東院堂の聖観音菩薩像などの国宝の仏像は 昔変わらぬ輝きを拝観できました。
また 大宝蔵殿に保存されている吉祥天図を見ることが出来ました。これは 縦53cm 横 31.7cmの麻布に描かれた 天平期のもので 非公開の国宝物です。 この絵を見ることが出来たたのは大変 幸いでした。
更に 北門を出るとすぐに 玄奘三蔵院伽藍があり 平山郁夫画伯が描かれた「大唐西域壁画」も公開日で 見られました。
薬師寺から北に4~500m行くと 唐招提寺の南大門に着きます。
観光写真でおなじみの 屋根が印象的な金堂は 改修工事がこの秋に終えて 往年の姿を見ることが出来ました。
唐招提寺は 天平末期に造られた仏像群もさることながら 写真の左側 天平建築の金堂・講堂や その右側 に建っている小さな重層の舎利殿や 細長い東室の鎌倉建築 更に 写真には写っていませんが 正倉院よりも古い最古の校倉造りの 経蔵・宝蔵などの 多くの建物が 時代を超えて境内に重なり合う様子が また印象的です。
鑑真和上像と東山魁夷画伯が奉納された障壁画は 今回は公開していませんでした。
お昼近くになり 電車とバスを乗り継いで 法隆寺に向かいました。
法隆寺は 修学旅行の団体と重なり ウイークデーにかかわらず賑わっていました。
写真は 西の端にある西大門です。 ここは法隆寺でも 夢殿へ向かう人の流れの反対側に当たり 人っ気の少ない所です。 豪華な回廊もなく 鄙びた土塀が続く佇まいは 静かな法隆寺を味わう絶好の場所でした。
壁画で有名な金堂の中に安置されている釈迦三尊を始め飛鳥仏や白鳳仏の数々。また 新装なった大宝蔵殿に安置されている百済観音や夢違観音 ほか 飛鳥時代から法隆寺に伝わる宝物を たっぷりと拝観しました。
夢殿を見終わった頃に 雨が降り出したので 中宮寺の弥勒菩薩半跏像の拝観は取り止めて 直通バスで近鉄奈良駅に帰り 一日中ご案内を頂いた友人と別れました。
この日は 一万歩 以上歩いたそうです。
今回の旅行で撮った写真は Picasaアルバムに纏めました。
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