日曜日, 11月 29, 2009

今年の奈良旅行


 平城京遷都1300年を来年に控えて 奈良の街は工事ラッシュでした。
 3条通りは拡幅工事で掘り返していますし JR奈良駅は駅舎の拡張建替え中でした。
 11月中旬にしては温かい日に恵まれ コートをホテルに置いて散策しました。
 初日は あまり観光客が立ち寄らない「奈良町」界隈を歩きました。
 この辺りは 狭い道を挟んで 格子窓の古い家屋が連なっている区域です。
 奈良町資料館や庚申堂や小さなお寺などが あちこちに散在しています。 ウイークデーでもあり 観光客はほとんど出会わず 道に迷うと地元の方を見つけては道を尋ねながら歩きました

 この奈良町の中心が 写真の元興寺(ガンゴウジと発音)です。
 元興寺は 仏教伝来後 始めて 正式の仏寺建築として 飛鳥の地に建てられた法興寺(飛鳥寺とも言う)が 奈良遷都によってこの地に移され 寺名も元興寺に改められた由緒在る寺だそうです。
 この建物 極楽堂は焼失後 鎌倉時代に建て直されましたが その後の荒廃が激しく 戦後 の大修理で創建当時に近い状態に復元されました。  後ろに建っている 禅堂と共に 国宝に指定され 更に '98年にはユネスコの世界文化遺産「古都奈良の文化財」の一つに登録されています。

 その日の午後は 興福寺の仮金堂で開催中の「興福寺国宝公開2009」へ 2時間行列のすえ入場し 阿修羅像をはじめ 現存の八部衆・十大弟子像 計14体を一堂で拝観しました。
 尚 お堂内の仏像は 全て写真撮影が禁止になっていますので 残念ながら仏像等の写真を掲載することが出来ません、ご了承願います。

 次の日は旧友と 近鉄西ノ京で落ち合って 北門から薬師寺に入りました。
 薬師寺と言えば 松の間から望む東塔の姿が 記憶に残っていましたが その東塔はご覧の通り工事用足場で覆われていました。 一方 建物として あまり記憶に残っていない 金堂・講堂などは 昭和50年以降の大改装により 白壁に朱色の柱 緑色の格子 黄色の垂木小口 が映える 白鳳伽藍として見事に甦っているのに驚きました。
 金堂内の薬師三尊像や 東院堂の聖観音菩薩像などの国宝の仏像は 昔変わらぬ輝きを拝観できました。
 また 大宝蔵殿に保存されている吉祥天図を見ることが出来ました。これは 縦53cm 横 31.7cmの麻布に描かれた 天平期のもので 非公開の国宝物です。 この絵を見ることが出来たたのは大変 幸いでした。
 更に 北門を出るとすぐに 玄奘三蔵院伽藍があり 平山郁夫画伯が描かれた「大唐西域壁画」も公開日で 見られました。

 薬師寺から北に4~500m行くと 唐招提寺の南大門に着きます。
 観光写真でおなじみの 屋根が印象的な金堂は 改修工事がこの秋に終えて 往年の姿を見ることが出来ました。 
 唐招提寺は 天平末期に造られた仏像群もさることながら 写真の左側 天平建築の金堂・講堂や その右側 に建っている小さな重層の舎利殿や 細長い東室の鎌倉建築 更に 写真には写っていませんが 正倉院よりも古い最古の校倉造りの 経蔵・宝蔵などの 多くの建物が 時代を超えて境内に重なり合う様子が また印象的です。
 鑑真和上像と東山魁夷画伯が奉納された障壁画は 今回は公開していませんでした。

 お昼近くになり 電車とバスを乗り継いで 法隆寺に向かいました。
 法隆寺は 修学旅行の団体と重なり ウイークデーにかかわらず賑わっていました。
 写真は 西の端にある西大門です。 ここは法隆寺でも 夢殿へ向かう人の流れの反対側に当たり 人っ気の少ない所です。 豪華な回廊もなく 鄙びた土塀が続く佇まいは 静かな法隆寺を味わう絶好の場所でした。
 壁画で有名な金堂の中に安置されている釈迦三尊を始め飛鳥仏や白鳳仏の数々。また 新装なった大宝蔵殿に安置されている百済観音や夢違観音 ほか 飛鳥時代から法隆寺に伝わる宝物を たっぷりと拝観しました。
 夢殿を見終わった頃に 雨が降り出したので 中宮寺の弥勒菩薩半跏像の拝観は取り止めて 直通バスで近鉄奈良駅に帰り 一日中ご案内を頂いた友人と別れました。
 この日は 一万歩 以上歩いたそうです。

 今回の旅行で撮った写真は Picasaアルバムに纏めました。
 お序での折にでも 当ブログ右の Links欄に有ります「Picasaアルバム」をクリックして「'09年11月 奈良・京都」をご笑覧下さい。

12 件のコメント:

HISA さんのコメント...

古都奈良を堪能されたようですね。
うちからは京都奈良は日帰りがほとんど
ですが古寺巡りははかなり歩くことを覚悟
しなければなりませんね。
先日の奈良行きで阿修羅像を私も拝観
すべきだったと今更ながらですが・・・

最近は美術館は勿論のことコンサート会場
なども写真禁止で~仕方ないですが残念
ですね。

M. Sasagawa さんのコメント...

HISAさん おはようございます。
 関西に住む昔仲間達のお陰で、効率的に回ることができました。
 来年の奈良は ブームになるでしょう。 個人客も多いでしょうから その人の流れを誘導すれば 中西さんの展覧会は盛会でしょう。

 最近のコンパクトデジカメは 機能が多角化して、室内の展覧会等も フラッシュ無しで、他の拝観者や展示物に迷惑をかけないで まずまずの撮影が出来ます、いろんな人が居るので 難しいでしょうが、昔の土門拳さんのような仏像の写真を撮ってみたいですね。

waka3 さんのコメント...

危ぶまれていた天候もそれほどの影響もなくゆっくりと過ごされた様子で何よりでした。

早速Picasaアルバムを拝見し、昨年、今年と私も奈良、京都に出掛けましたがバイクや車での忙しない訪問ばかりでしたので、古都奈良、京都を写真の上でゆっくりと深訪させていただきました。

睦月 さんのコメント...

ご無沙汰しておりました。
お帰りなさい!
1日1万歩以上・・かなりの運動量でしたね。
お天気にも恵まれ、楽しいご旅行だった様子。

阿修羅像、もう帰ってきてたのですね。
奈良・京都共に、少々慌しくても日帰りで行ける距離なのですが、いつでも行ける・・と思ってしまって、ここ数年は足が遠のいてます。

M. Sasagawa さんのコメント...

waka3 さん:
 アルバムまでご覧いただき有り難う御座いました。
 奈良は 地域が狭いので、京都と違って 歩ける距離で移動出来るのが魅力です。 昔のつもりで調子にのると、ついオーバーワークになってしまいますが。
 今年は 天気に恵まれましたのも幸いでした。また 来年も と言う気分になっています。

M. Sasagawa さんのコメント...

睦月さん:
 こちらこそご無沙汰致しておりました。

 東京での阿修羅ブームが 日本中に飛び火した感じですね。 
 興福寺の境内が 入場者の列で埋まっていました。 黄色く色づいたイチョウの樹を背景にして、行列の写真を撮りましたが、列んでいる人達が 皆カメラの方を向いて プライバシーの問題が起こってもまずいと思い、ブログやアルバムに掲載するのは止めました。
 列んでいる人々の話し声が聞こえ、その訛りから、日本のあちこちから来られているのが判りました。
 来年は「平城京遷都1300年」で大変な人出でしょう。 行かれるのなら、再来年以降がよろしいのでは? 千年経っても変わりませんから。

kimama さんのコメント...

去年と今年の奈良・京都のアルバムを拝見してまいりました。特に奈良は中学の修学旅行だけで、お決まりのコースしか記憶にないので興味深くなりました。
屋根瓦や木と白壁の美しい建物に圧倒されます。赤オニと青オニの迫力もバッチリでしたね。回廊の柱と土台には、思わずビックリしました・・・うちの手作りの車庫のやり方と同じだわ~(笑)
観光案内のパンフ等では見られないシーンがたくさんあって飛鳥時代とか天平の甍とか、歴史の教科書をも思い出しながら、古都を偲ぶことが出来ました。
長距離の時代散策も素敵ですね。お疲れになられたでしょうが、とても羨ましいです。

M. Sasagawa さんのコメント...

kimamaさん こんばんは、寒くなってきましたが 皆様お元気ですか?
 いつも拝見していた、あの冬の写真を思い浮かべています。

 奈良のアルバムをご覧いただき有り難う御座いました。 今年も 修学旅行の皆様と 何処でも一緒でしたよ。
 そうですね 車庫の柱はエンタシスでしたね、法隆寺は 五重塔を始め 地震には今まで被害はありませんでした。

 仏像を見ていると、時代と共に次第に人間臭くなります。しかし 信仰の対象として、写実ではいけないので、仏師達はその 隙間の表現に努めて来たのでしょう。
 来年もまた歩いてきます。 

ポタ さんのコメント...

トマトの写真いいですね。
空豆も無事発芽、大根も良い調子ですね。
私は家庭の事情で畑は放置状態です。
秋作は何もありません。
奈良もクラス会で行く予定でしたが、キャンセル。残念でした。京都も奈良も大好きな場所です。
時間を見て、またお邪魔します。

M. Sasagawa さんのコメント...

ポタさん、こんばんわ。
 お忙しい中を コメントをいただき恐縮です。 お陰様で、今年も順調にいっています、元気で畑仕事が出来るのは有り難いことだと感謝しています。

 来年のことを言うと 鬼に笑われますが、遷都1300年で 奈良市内は混雑が予想されますので、飛鳥の方を歩こうか と思っています。
 
 呉々も健康にご留意下さい。

モンカー さんのコメント...

奈良は良かったようですね。京都は十分みたので次回は奈良を計画していますが来年春以降になるでしょう。
折角行くからついついたくさん見ようとしますが1日に2つくらいでゆっくりしたいですね。
地図を広げると吉野の桜も見たいし、足を延ばして熊野も見たいなと欲張る心を抑えねばなりません。関西に住んでいると歴史的な名所が多くていいなと羨んでしまいます。
アルバム見せていただきます。

M. Sasagawa さんのコメント...

モンカーさん:
 阿修羅展 以来奈良ブームになっている様です、今年の奈良は一段と観光客の数が多い様に思いました。
 阪神電車と近鉄奈良線が大阪市内の地下で繋がりましたので、大阪以西の人にとってはうんと便利になりました。 これも人気を呼ぶ一因でしょう。

 奈良の南の方も ぶらぶら歩くには いい所が沢山あります。 休暇がまとめて取れる時に、ゆっくり回られることをお薦めします。