日曜日, 12月 07, 2008

「もの作り」を想う

先日 或るメーカーのトップの方と もの作り について話し合った際に 「もの作りに対するパッションが無くなった」との言葉がありました。
 最近の日本では もの作りの現場は ひたすら ”安く、早く、大量に” 作ることにのみに関心が向いている様です。
 本来もの作りは 使う人の立場に立って 生活に必要とされ 十年経っても使い続けられる 信頼性のあるものを 一生懸命工夫して 丁寧に作るのが原点のはずでした。 ところが 流行を追い 格好だけが新しいもの 安易に使い捨て出来るものを作る流れになっています。
 日本のただ一つの資源である もの作り の先行きが心配です。

 さて 息子が乗って来た この英国製の自転車で 30km強のサイクリングに行きました。
 毎日乗っている国産の軽快車と比べて あまりにも大きな違いがあるのに驚きました。
 この自転車は 文字通り自転する車で 走りが軽く 車のバランスがいいので アップダウンのある道を30km程度走っても 全く疲れません。 違いの主因は 高圧タイヤを履いていることでしょうが やはり サイクリングの長い歴史を持つヨーロッパで培われた 自転車に関するノーハウや それを作り上げる技術が 絶えることなく 今に引き継がれている その もの作りの違いが大きいと思いました。 

 次の写真を見ていただくと この自転車は一つ一つ 手作りで丁寧に作られていることが解ります。
 例えば キャリアーは全て溶接構造で出来ていて その手溶接のあとが見えます。
 また 車輪のドロヨケけに描かれた2本の金線も手書きです それは奇麗な並行線に描かれていますが よく見ると 印刷でつけた線とは違う 筆を持つ人の息遣いが感じられる線です。 
 そのような 丁寧にものを作る姿勢が 随所に感じられます。

 また 使う人が 好みや 使い勝手の良さ を求めて改造して 愛着をもって長年使い続ける気持ちにさせることも もの本来の使命であり もの作りの原点に繋がるものだと思います。
 この自転車は 長年にわたって顧客からのフィードバックを受け こつこつと工夫を重ねた結果が盛り込まれた作りになっています。
 まず 左の写真は 普通はリアー側に付けられているスタンドを車体の中央に付け変えた写真です。前輪の勝手な動きを抑えて安定感がでます。

 右の写真は フロントに ちょっとした物が入るカゴを取り付けたものです。
 カゴはワンタッチで外せて そのまま手提カゴとしても使えます。
 状況に応じて カゴをカバンに取り替えるのも ワンタッチで出来ます。 カバンには書類やペットボトルの飲み物ぐらいなら すっと入ります。
 この自転車は 長く 大事に 心地よく乗りたくなる自転車です。

19 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

sasagawaさんに同感です。私がアウトドアで使うグッズは、ヨーロッパやアメリカ製品が多いです。デザインだけを考えて作ったものと違い、近い心地を重視して作られています。キャンピングや登山などの歴史が長いからでしょうね。
日本のものにもすばらしいものがたくさんありますね。合理化や採算性ばかり考えていると伝統は失われてしまいそうです。

M. Sasagawa さんのコメント...

ポタ 様:
 有り難う御座います。

 例が古くなって現代風ではありませんが、タバコのキセルや 下駄の鼻緒など、ものと使う人との交流が大事なポイントだと思います。 
 あげくのはては、エコと言う言葉がハヤリになる世の中は、本末転倒です。
 

匿名 さんのコメント...

いいものに出会われましたね。日本は昔からもの作りは得意でしたよね。確かに安くて大量に作るためでしょうか、機械で作るようになったためこのような手作りの良さがなくなったような気がします。
来年、イタリアに行き、ちょっと違った世界を見てきて確認してきます。
野菜作りも手作りで、ゆっくりとやって行こうと再確認しました。最近のネギの甘さとジューシーさは秋に撒いてこの翌冬まで時間をかけただけ美味しさが伝わってきます。

匿名 さんのコメント...

「長年にわたって顧客からのフィードバックを受け こつこつと工夫を重ねた」というのは日本のお家芸だと思っていましが・・・。
海外駐在の友人からはいい加減で壊れやすいものが多いと聞いていましたのですが、認識を変えなければー

しっかり作られているものは気持ちがよく大切に長く愛用したいですよね。

M. Sasagawa さんのコメント...

モンカー 様:
 ワン ジェネレーション過ぎると、もの作りの技術は伝承されなくなります、それが心配です。
 最近は もの作りだけで無く、小売店の売り子が全く自分の店の売り物のことを知らな過ぎます。もの作りと同じ様な現象が、社会の全般に起こっています。憂うべき問題ですね。

 イタリアに行かれるのですか、先年 ボローニャとラベンナに4〜5日滞在して歩きました。外から見ていたのとは全く違う、普通の庶民の堅実な生活や ものを大事に使う習慣を見て、イタリアへの認識を改めました。
 是非 感想を聞かせて下さい、楽しみにしています。

 野菜作りも 根本は同じですね。

M. Sasagawa さんのコメント...

hisa 様:
 最近の日本の もの作りに関する傾向は、我々の世代の者から見ると心配です。
 変わり身が早く、いちはやくそれをものにするのは日本の特技で結構ですが、こつこつとものを作る心と 技術は、一度捨て去ると 一朝一夕には出来ないものです。
 学生のメーカー離れも、世の流れの現れとは言え困ったことですね。

 ほんとに気に入ったものに出会うと嬉しいものです、自分の手で磨き上げたい気持ちになります。

匿名 さんのコメント...

いい自転車ですね。とりはずしできるカゴのデザインいいですね^^。こんなカゴなら収穫した野菜を載せたりして、ウキウキしちゃいます。私も、自転車は高圧タイヤを履いてます。イタリアのロード車です。
3年前までは、多摩川を60キロくらい毎週走っていたのですが、今は娘がまだ小さいので、2年程、部屋の中でインテリアになっています。でもいいモノは、眺めてるだけでも気持ちがいいです^^V。

M. Sasagawa さんのコメント...

nananan 様:
 有り難う御座います。
 ロード車はスマートですね、色は何色でしょう。 うちの農園は自動車は禁止、自転車で往復40~50分、前後のカゴに荷物や収穫野菜を満杯にしますので、普段は国産の実用車で通っています。

 多摩川縁もサイクリングにいいでしょうね。和泉多摩川に居ましたので、あの土手で 子供の自転車乗りを教えていました。

匿名 さんのコメント...

最近の使い捨ての商品って味気ないですね。
職場の自転車(HCの特売品)なんて、1年でダメになってしまいましたもの。
良いものを、と思うと驚くほど高価だったりしますし。
少し違うかもしれませんが、家電製品なんかも良くありませんね。
耐用年数が来る頃に壊れる、修理が出来ない、出来ても高くつく・・・とか。
PCなども、2年ほどでダメになるようでは困るのですが、ね。
もうちょっと使う人にとって良いものを作ってもらいたいですね。

M. Sasagawa さんのコメント...

睦月 様:
 最近は 作る側も 使う側も ものは或る程度使って 汚れたり 格好いいのが売り出されたりすると、新しいのに買い替えるのが常識になってしまいました。

 うちのエアコンを例にとってみますと、1978年製のが現在も使っています。ところが 1989年製のは14年で冷えが悪くなり冷媒の入れ替え等 修理をしましたが その後2年目には廃棄し 新品と交換しました。 バブル崩壊後に製造されたエアコンは10年足らずで 既にガタがきています。全て同一メーカーの製品です。
 怒りがこみ上げます。

匿名 さんのコメント...

素晴らしい自転車ですね!
どの写真を見てもsasagawaさんの興奮が伝わってきます。
そして文章にも・・・・。
私はママチャリに乗っているので、こんな夢のような自転車には巡り合うことはないでしょう。
sasagawaさん、この自転車、息子さんからいただいちゃえば(笑)

M. Sasagawa さんのコメント...

リラ 様:
 有り難う御座います。我々の時代の目で見ますと、最近のもの作りには我慢がなりません。
 そんな日頃の鬱憤が この自転車で、少しは晴らしたのかな? と思います。

 平素は ママチャリです。畑の荷物が多いので、新聞配達スタイルで頑張っています。
 所有権は?(そのうちに そうなると おもっています。)

匿名 さんのコメント...

ご子息は素晴らしい自転車をお持ちなんですね。

私が入社した頃には工場に「木型」部門がありましたが、今では物作りの現場から完全に姿を消してしまいました。
良しにつけ悪しきにつけ昨今では物作りについては巧みの技を見かけ機会が少なくなり寂しくなってきました。

M. Sasagawa さんのコメント...

waka3 様:
 有り難う御座います。息子は凝り性ですね。

 技術の記録は残っていても、巧みの技は 磨き続けていないと残りませんので、取り返しのつかないことになるのでは、と心配です。

匿名 さんのコメント...

日本のものづくりの平均的なレベルはいまだ他国の水準よりも高いと信じたいです。ただ、ものづくりの原点である、良い製品、つまり人々に喜ばれる製品を作る姿勢はなくなりつつあると思います。近年は合理化ばかりを推し進め、生産性を重視した製品作り、そして過剰な大量生産とそれに伴う価格競争の激化。必要のないものが巷に溢れ、合理化のしっぺ返しで品質も下がりその結果、人々に喜ばれないものづくりになっている気が致します。
ものづくりの原点を忘れ、金儲けだけに走ってはメーカーとは言えません。
blogの自転車を製造するメーカーは80年を超える歴史を持ちながら、ハンドビルドに拘り、更に新しい製品開発にも積極的でビジネスとしても成功しているようです。英国国内でも注目されています。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/7713059.stm

匿名 さんのコメント...

素晴らしい自転車を見せていただきました。日本の使い捨て文化には本当に困ったものですね。伯母夫婦が長年海外で生活していたので、英国やドイツでの物を大切に使う習慣をよく聞かされていました。使う人・作る人どちらにも、良い伝統が受け継がれていると思います。

M. Sasagawa さんのコメント...

mincoro 様:
 おっしゃる通りです。 
 この自転車のメーカーも、80年間も 自転車をハンドビルドで作り続け、会社を大きくすることよりもストラットフォド アポン エイボンの地で いい自転車をこつこつと作り、その良さを解るお客さんと喜びを共有することに意義を認めています。 
 メーカーとしての理念がしっかりしていると思います。

M. Sasagawa さんのコメント...

kimama 様:
 有り難う御座います。
 おっしゃる通り、ヨーロッパの国々では 現在も変わらず物を大切に使います。 前にアメリカ人の家に泊めてもらった時、夜 車が動かなくなり ガレージに電気を灯して修理をしていると、隣近所の人達が手に手に道具や部品を持って来て 動けるようにしました。
 使い捨て文化の権現の様に言われているアメリカでも、大部分のアメリカ人は、物を大事にしますし 自分らで修理して何時迄も使っています。
 日本の向かっている方向が 間違っていると思います。

匿名 さんのコメント...

I think I come to the right place, because for a long time do not see such a good thing the!